フロン排出抑制法によってエアコンや空調設備の保守点検が義務化されました。
点検には各自で行える簡易点検と業者などの専門家に点検してもらう定期点検の2種類があります。
空調設備の故障や事故を未然に防ぐためには定期的なメンテナンスが必要です。
今回の記事では保守点検の内容や注意事項を紹介していきます。
エアコンや空調設備を保守点検する理由とは?
記録的な猛暑が原因で、病院においてエアコン故障による患者の死亡事故が発生してしまったことや、フロン排出抑制法が施行されたことを踏まえて、現在エアコンや空調設備を管理する重要性が高まってきています。
フロン排出抑制法によってエアコンや空調設備を保守点検することが義務付けられ、そのため空調設備のほかにも冷蔵庫など、フロンを排出する可能性のある機器を管理する管理者を選任しなければいけません。
業務用エアコンを定期的に点検し、部品の交換などを行うことで故障を防ぐことができます。
保守点検をすると、空調設備を快適に長期間使うことができるため、フロン排出抑制法の有無にかかわらずエアコンや空調設備を定期的にメンテナンスすることは重要なことなのです。
簡易点検と定期点検の詳細と違いとは?
エアコンや空調設備を保守点検する理由を紹介しました。
空調設備の管理者にはいくつかの義務が設けられており、その中の1つに「機器の定期的な点検」が含まれています。
この保守点検には簡易点検と定期点検の二種類があり、具体的にどのようなことをするのかをお伝えしていきましょう。
パッケージエアコンの種類
保守点検する空調設備には次の5種類が挙げられます。
- 店舗用エアコン
- ビル用マルチエアコン
- 設備用エアコン
- ウォールスルーエアコン
- 分散型水熱源エアコン
これらの違いで保守点検の内容が変わってくるので注意してください。
簡易点検について
簡易点検は空調設備の管理者が自ら点検することができます。
具体的な点検内容は以下の4つです。
- 異音、振動があるか
- 油にじみ、傷などがあるか
- 配管や熱交換器に霜が付いているか
- 室外機の環境が悪くなっていないか
これらのチェック項目が細かく記載されてあるマニュアルが日本冷凍空調設備工業連合会のサイトで公開されているので確認しておきましょう。
(http://www.env.go.jp/earth/airconditioner.pdf)
定期点検について
定期点検は簡易点検と違って、素人ではなく有資格者が行うより専門的な点検です。
具体的には以下の点検を行います。
- 空気の吸い込み、または吹き出しの温度、配管温度の測定
- ガスや水漏れの確認
- フロンガスの運転圧力の測定
- オーバーホール
オーバーホールとはエアコンを分解して中の汚れを洗浄することで、素人ではわからない故障の原因を解明したり、故障を未然に防ぐことができます。
エアコンの保守点検の記録とは?
保守点検をしたときには記録を取り保持しておかなければなりません。
もし問題点があれば修理に出したり業者に相談したりする必要があります。
記録しておく事項は次の4つです。
- エアコンや空調設備の管理者や、定期点検を行った人の名前や団体名
- 空調設備の設置場所や機器情報
- フロン類の初期充填量と充填・回収したフロン類の量
- 故障時、修理時の日時と詳細
保守点検をするメリットを紹介!
保守点検には様々なメリットがありますが、その他にも定期メンテナンスをすることで快適な環境を維持することができ、エコにもつながります。
それでは保守点検のメリットを見ていきましょう。
ランニングコストを低減させる
定期的なメンテナンスをした空調設備と、ノーメンテナンスの空調設備の消費電力を比べてみると、4年後にはノーメンテナンスの空調設備の消費電力が、定期メンテナンスをした空調設備の4割ほど多かったという調査結果があります。
つまり定期的なメンテナンスは電気代削減やエコに直結しているのです。
耐用年数が延長する
耐用年数には故障寿命、耐用寿命、社会的耐用年数、法定耐用年数の4種類があり、それぞれの耐用年数について簡潔に説明していくと以下のようになります。
- 故障寿命→口調設備などの機器が自然と故障する期間
- 耐用寿命→劣化や長年の使用により維持費が増大していき釣り合わなくなる期間
- 社会的耐用年数→新しい機器の発売により交換などを検討し始める期間
- 法定耐用年数→固定資産の減価償却のための期間
故障を予防することができる
点検によって空調設備の異常なところがすぐにわかるので事故やその後の故障を未然に防ぐことができます。
部屋が快適になる
空調機器のなかにある熱交換器に異常があると、異常な音や臭いが発生してしまいます。
定期メンテナンスでこれらを取り除くと、空調設備を設置している部屋の環境が快適になります。
エアコンや空調設備の保守点検をしっかり行いましょう
エアコンや空調設備の保守点検が義務化された今、定期的な保守点検が非常に重要です。
そのためには各自で簡易点検を行うことが第一ですが、専門家でなければ分からない部分もあります。
業務用エアコンを使っていて、おかしな点や不安なことがあった時にはぜひ、「空調の総合窓口.jp」にてご相談ください。